『ひとたびはポプラに臥す』宮本輝著
タイトルからは想像できなかった。
どうやらシルクロードにはポプラがあるらしい。
なんだかタイトルに惹かれて読み始めたのだが、
内容は大変過酷な旅の話だったので少しおののいた。
著者が訳経僧 鳩摩羅什の足跡を追った旅の話である。
中国西安からパキスタンのイスラマバードまで、
6700キロの剣難な道を40日間かけて車で踏破するのである。
1995年の話で、現在よりは交通の便はよくはないにしろ鉄道や
飛行機も少なからず使えたはずである。しかしあえて車で
旅することによって、人々の生活や文化がより伝わってきた。
~埃と悪臭と悪意とワイロと無表情が横溢し、人心の荒廃に
虚しさと苛立ちがつのっていく~
常に侵略の脅威に晒され、抗争が頻繁にあった中国では
そうならざるを得なかったのかなどと考えさせられる。
あとは、食べ物。著者を含め同行者たちは常にお腹の調子が
悪く、トイレも悲惨だったようだ・・・。
(ずいぶん前の話だけれども)お疲れさまでした・・・。