「後宮の検死女官」小野はるか著
タイトルからも推察される通り、中華後宮検死ミステリー小説である。
タイトルに検死とあるので、その描写が細かに描かれている。
まずそこにすごいなと思った。
現代医学の知識は使えないはずだが、あまりに細かい描写だしいった何を
参考にしたのだろうかと思い、巻末の参考文献を見てみた。
『洗冤集録』は南宋の1247年に著された、世界最初の検屍書であるらしい。
著者の宋慈(1186~1249)は広東管区の司法長官。当時、検屍の誤りのために
無実の罪で死刑になる者が後を絶たなかったことを憂い、本書を執筆したようだ。
昔なんて、上のものが黒といえば白も黒になり、賄賂の横行も当然あっただろうに
わざわざこのような書物を残しているなんてすごいなと思った。